↑このブログの正しい読み方
ワシはモテない。どこにでもいそうな印象薄いタイプやし。それは充分自覚してる。
だから人生で告られたのって2回しかなかった。(男に口説かれた1回は除く)
その2回も中学校のときで付き合うってことの意味すらわかってなかった奥手少年やったんでデートとかもせずなんとなくそのまま終わってしまった。
それまでその子(仮にみーちゃんとしておく)とはちょくちょくバカ話することはあったし、仲良くはしてた。けど恋愛感情ってまるでなくて。
たまたま飲み会の場でなんか元気なさげやったんでどしたん? って聞いてみた。
「ちょっと悩んでて」
「金ならなんともならんけど恋の相談なら乗るで?実はオレ、宝塚市の売布神社辺りでは愛の伝道師って呼ばれてたから」
「なに、それ?」と彼女は笑って「うん、好きな人できたんだけどどうしていいかわからなくて」と続けた。
「相手はどんな感じ?脈あるかどうかくらいわかるやろ?」
「多分脈はない。嫌われてはいないと思うけど」
「そっか。でもうだうだ悩んでるくらいなら告っちまいな。だいたい好きって言われて嫌な気持ちになるやつおらんから。それまで気にしてもなかった相手でも ちょっとは気になってくんねん。そりゃクソデブとかブサイクなら気持ち悪がられるだけやけどみーちゃんなら大丈夫や。付き合えるかどうかは別問題やが言わずに後悔するよりは絶対ええって!」
「そうか。そうかな」
彼女は意を決した色を瞳に浮かべて僕をまっすぐに見た。
迂闊にもこの瞳を見るこの瞬間までまったく気づかなかった。彼女が好きな相手が誰なのか。
もう次のセリフはわかっていた。そして僕の予想通り彼女は呟いた。
「あなたのことが好き」
飲み会の場で周りの誰も聞いていなかったのは不思議だ。もしかしたらあの時、彼女は声に出さず唇だけでそう言ったのかもしれない。そのあたりは記憶に自信がない。
正直そこからの僕はこれにどう返答すべきか灰色の脳細胞を全力で回転させていて、言われたことを脳に焼き付けるひまなどなかったからだ。
それが人生3回目の告られた経験。
帰り道。彼女の告白については話題にせず、そして別れ際に僕は彼女にキスをした。
大人になって告られたのはその1度しかないからやっぱり記憶に残っている。
今思い出すとちょっとくすぐったくて甘じょっぱい。